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やまにゆきひかる

山に雪光る

小川 未明

線上閱讀小川 未明《山に雪光る(やまにゆきひかる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 1,914 字 · 4 頁

青空文庫

薬屋は、紺もめんの、大きなふろしきで四角な箱をつつみ、それを背中へ負い、足にきゃはんをかけ、わらじばきの姿で、立ち去りました。武男は、しばらく、その後ろ姿を見送っていました。

「筆草って、草があるの。」

「高い山へ、薬草をさがしにいくと、まだ人の知らない、ふしぎな草があるという話だ。」

「あの薬屋さんは、これからどこへいくの。」

「まだ方々を歩いて年の暮れに、山国の町へ帰るといった。」

武男は、その日の夕暮れが、いつもより、美しく、さびしく感じられました。

秋から冬へかけ、空は、青々と晴れていました。町のはずれへ出て、むこうを見ると、野や、森をこえて、はるかに山々の影が、うすくうき上がっていました。その中の高い頂には、すでに雪が、はがねのように光っています。武男は毎日ここへきて、山をながめていました。そして、正月の書き初めには、「山に雪光る」と、書きました。

よくできたと、学校の先生からも、お父さんからも、ほめられました。また、筆屋のおじいさんは、字に、たましいがはいっていると、たいへんほめてくれました。