輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ひゃくものがたり

山椒大夫・高瀬舟

森 鴎外

線上閱讀森 鴎外《山椒大夫・高瀬舟(ひゃくものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 45,466 字 · 92 頁

青空文庫

手を緩めると、顎は見事に嵌まってしまった。

二十の涎繰りは、今まで腮を押えていた手拭で涙を拭いた。お上さんも袂から手拭を出して嬉し涙を拭いた。

花房はしたり顔に父の顔を見た。父は相変らず微笑んでいる。

「解剖を知っておるだけの事はあるのう。始てのようではなかった」

親子が喜び勇んで帰った迹で、翁は語を続いでこう云った。

「下顎の脱臼は昔は落架風と云って、或る大家は整復の秘密を人に見られんように、大風炉敷を病人の頭から被せて置いて、術を施したものだよ。骨の形さえ知っていれば秘密は無い。皿の前の下へ向いて飛び出している処を、背後へ越させるだけの事だ。学問は難有いものじゃのう」

一枚板。これは夏のことであった。瓶有村の百姓が来て、倅が一枚板になったから、来て見て貰いたいと云った。佐藤が色々容態を問うて見ても、只繰り返して一枚板になったというばかりで、その外にはなんにも言わない。言うすべを知らないのであろう。翁は聞いて、丁度暑中休みで帰っていた花房に、なんだか分からないが、余り珍らしい話だから、往って見る気は無いかと云った。

花房は別に面白い事があろうとも思わないが、訴えの詞に多少の好奇心を動かされないでもない。