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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁
お高が、小婢に送られて、おせい様の玄関を出ようとしていると、入れ違いに、おせい様と同じ年配の、やはり裕福な商家のおかみらしい、粋なつくりの女が、おせい様を訪れて来た。
「まあ、吉田屋のお内儀さま、おめずらしい。さあ、どうぞ――」
小婢が、こましゃくれた口で、そういっていた。
六
おせい様とは大の仲よしの藁店の瀬戸物問屋吉田屋の内儀お民だ、いつも来て、じぶんの家のように勝手を知っている家だ。案内も待たずに、奥へ通った。
藁店の吉田屋は、おもてにも、瀬戸物一式をならべて売っている古い店だが、それより、諸大名のやしきへ、屋根瓦などを手広く納めているので有名な家である。お民は、そこの家つきの女房で、おせい様とは、雑賀屋の旦那がまだ生きているころから、芝居などは必ず誘いあわしてきた、したしい友達なのだ。
中庭にむかった小座敷では、おせい様と磯五とお駒のあいだに、これから、くつろいだはなしがはじまろうとしていた。磯五は、お高のことはいま話題に上さないほうがいいと考えて、しっきりなしにほかのことをいいだしていたが、心では、あのお高が何しにこのおせい様のところへやって来たのであろう、何を話して行ったのであろうと、それが、すくなからず気になっていた。