輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁
おせい様は、磯五の顔を見て、お高によって一時植えられた疑念など、けろりと忘れて、酔ったように上きげんなのだ。お茶を呼ぶつもりで若やいだ態度で手をたたいたりした。
その、手をたたく音を縁を進んでいたお民が聞いて、冗談好きのお民が、お茶屋の仲居をまねて、
「へえーい」
と長く引っぱって答えると、近いところで、うちの者でない人の声がしたので、おせい様は誰のいたずらであろうと、びっくりした。そこへお民が、あいそよくはいって行った。
「お呼びでございますか。というところでございますね。こんちは」
「あらあら、まあまあ、吉田屋のお民さんじゃあありませんか」
おせい様も、はしゃいだ声を出した。おせい様は、このお民に対してだけは、友達ずくに、すこし、ことばをくずすのだ。
「いやですよ。女中のまねなんぞしては、まあ、おはいりなさいよ。うちの人同様の人たちばかりですから、ちっとも構いませんよ」
お民は、にこやかに笑ってはいって来て、すわった。お民は、お店の女房らしい、渋い、美しい年増だ。ふところから、紙にはさんだ煙管を取り出して、手あぶりの火で、一服つけた。そして、
「いえね、あした早く発って、旦那といっしょに伊万里のほうへ年例の仕込みにゆきますからね、ちょっとこの前を通ったついでに、しばらくのお別れに寄ってみましたのさ」