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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁

青空文庫

が、いつまで待っても一空さまが笑い出さないので、お高は、ひとりで笑い出した。

「何のことでございますか、わたくしには、わかりませんでございますよ。十七軒のお店が、そっくりわたしのものでしたら、わたしは、江戸で名代の金持ちのはずでございますねえ」

一空さまは、にこりともしないのだ。

「そうじゃ、あんたは、江戸で名代の金もちなのだが、じぶんでそれを知らんようだから、わしは、しらせに来たのじゃよ」

「さようでございますか」お高は、どこまでも相手になろうとはしなかった。

「それはどうも、御親切にありがとうございます」

「わしのいうことを、信じなさい。いくらわしが酔狂だからというて、藪から棒に、かような戯談を持ちこんで参るわけがないではないか。和泉屋は、そっくりおゆうさんのもちものであった。おゆうさんが蔭におって、それぞれの者に、十幾つの和泉屋をやらせておったのだ。何から何まで、おゆうさんの金で商売をして、もうけはそっくりおゆうさんのふところへはいる。豪儀なものであった」

お高は、眼をぱちくりして黙りこんだ。

一空さまの話では、父の相良寛十郎も、その、おゆうの和泉屋経営に一部の仕事を受け持ったというのだ。