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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

線上閱讀高村 光雲《幕末維新懐古談(ばくまついしんかいこだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,912 字 · 6 頁

青空文庫

すると、師匠は、至極満足の体でいられたが、さらに言葉を継ぎ、

「お前の名前のことについてであるが、今後はお前も一人前となることゆえ、名前が幸吉ではいけない。彫刻師として彫刻の号を附けねばならぬ。ついては、お前の幼名が光蔵というから、その光に、わたしの東雲の雲の字を下に附けて光雲としたがよろしかろう。やっぱり幸吉のコウにも通っているから……」

と申されました。

この事は私も不断から、そうも考えたり、また、その考えを師匠にも話したことなどあったのでしたが、今日この場で、師匠は改めて、私に光雲の号を許してくれられてかくいい渡されたのでありました。私は無論のこと、母も大いによろこび、お礼を申し述べ、その日は母と一緒に、十一年ぶりで我家に帰って父にもその由を委しく話しました。父も非常に喜びました。

しかるに人情というものはおかしなもので、年季が明けて一旦我家に帰っては来ましたが、元来、十二歳から十一年間、師匠の家におり、ほとんど内の者同様にされ、我が家のように思っておったこととて、私の心は生みの親よりもかえって師匠になずんでおります。それに家に帰っても、父の商売は違っておって、何となく私の気持が自分の家に落ち附かぬ。