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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
線上閱讀高村 光雲《幕末維新懐古談(ばくまついしんかいこだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 861 字 · 2 頁
床屋の話が出たついで故、ちょっと話しましょう。当時の髪結床は、今のように小ざっぱりしたものではなく、特にこういう源空寺門前といったような場末では、そりゃ、じじむさいものでした。
源空寺門前という一町内には、床屋が一軒、湯屋が一軒、そば屋が一軒というようにチャンと数が制限され、その町内の人がそのお華客で、何もかも一町内で事が運んだようなものであります。で、次の町内のものが、その床屋へ飛び込むと、変な顔をして謝絶ったりしたものです。
床屋はちょっと今のクラブのような形で、一町内の寄り合い所なり遊び場でありました。
床屋の主人は何んでも世話を焼いて、此所で話が決まるという風。お祭礼の相談、婚礼の話――夫婦別れの悶着、そんなことに床屋の主人は主となって口を利いたものです。
床屋は土間で、穴の明いた腰かけの板に客が掛け、床屋は後に廻って仕事をする。側に鬢盥というものがあって、チョイチョイ水をつけ、一方の壁には鬢附け油が堅いのと軟かいのとを板に附けてある。客は毛受けという地紙なりの小板を胸の所へ捧げ、月代を剃ると、それを下で受けるという風で、今と反対に通りの方へ客は向いていた。