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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
線上閱讀平林 初之輔《平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕(あるたんぼうきしゃのはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,247 字 · 229 頁
、新聞広告で色々な女を釣り込んで、身のまわりのものをすっかりまきあげて裸にして返してしまったこと、詐欺はなかなか大仕掛けで、最近にも青森から、貨車二両分の林檎をとり寄せるというので前渡金を着服してすったもんだと騒いでいたこと、かりんのちゃぶ台を五百台引き請けて、同じように前渡金を着服したこと、月末には、いつもどっかへ姿をくらまして、家賃や酒代はもとより、牛乳屋や新聞屋の払いまで一度もしたことがないことなどを、まるで、当人を前において面罵するような激昂した口調でしゃべり、最後に、「実際私でも、あんな奴はぶち殺してやりたいほど癪にさわっていました」と付け足した。
林の証言は、近所の人によってすっかり確認されたのであった。
つづいて凶行当日の訊問に移った。一番先に訊問されたのはやはり未亡人だった。
「被害者は昨夜家にいたか?」
「はい、九時半頃まで家にいましたが、九時半頃に、用があるからと言って出てゆきました。出がけに、今夜は帰らぬと申していました」
「この通りの服装で出かけたのか?」
「左様でございます」
「それっきり帰ってこなかったのじゃな?」
「はい」
「戸締まりはすぐにしたのか?」