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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
線上閱讀平林 初之輔《平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕(あるたんぼうきしゃのはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,247 字 · 229 頁
書生がはいってくる。二十歳位の青年。
書生――何か御用でございますか?
健作――明日の案内状の返事はもうたいてい来たかね?
書生――はあ、五百通出した中で、出席の返事が三百三十六通と欠席の返事が五十二通とで、あとはまだ返事がまいりません。
健作――そうか、ではその出席の返事の分をちょっとここまでもってきてくれんか。
書生――はっ。
書生退場
久子――この分じゃ出席が四百にはなりますわね。返事のないのを半々と見て。
健作――うむ、それに家族同伴じゃから、人数は千人を越すだろう。なかなか盛会だぞ。
書生葉書の束をもってはいってくる。
書生――これでございます。
健作――よし、よし。
書生退場。青木と夫人久子とは卓子の上で、返信の葉書を一枚一枚繰って、差出人の名前を調べている。
久子――あら徳田さんが来て下さるのね。吉富さんも、正木さんも……
健作――正木の妻君はどうかな。あの女なら、半月くらいは方々へ行ってこの話を、しゃべりつづけてくれるだろう。
久子――それから島村さんの奥さんもいいでしょう。新婚のほやほやのところをおどかしちゃ少しお気の毒かしら。
健作――そうだ、あの女は有名なモダンだから、それに大した真珠の頸飾りを新調したというから、わしにピストルを向けられたら青くなるだろう。