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あきばしょから

平野零児随想集 らいちゃん

平野 零児

線上閱讀平野 零児《平野零児随想集 らいちゃん(あきばしょから)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,838 字 · 48 頁

青空文庫

「直木らしくてよかろう」と委員会では期せずして、あえてこのような戯語を撰んだ。

「僕は、僕の母の胎内にいる時、お臍の穴から、僕の生れる家のなかを覗いて見て、

“こいつはいけねえ”

と思った。頭の禿げかかった親爺と、それに相当した婆とが、薄暗くて小汚くて、恐ろしく小さい家の中に座っているのである。だが神様から、ここに生れ出ろと、いわれたのだから“仕方がねえや”と覚悟したが、その時から、貧乏には慣れている……」とかつて直木氏は、好んで書いた貧乏の話の一部に書いている。

そして昭和九年二月二十六日、四十三才で病没するまで、借金と税金に責められとおした。しかし一面では貧乏をまた楽しとさえもした。

「紙屑みたいな物が、一万五千円(当時の)の金になった」と喜び、書きおろし全集の印税がはいると、三千円で家を、四千円で月賦の土地を、三千三百円でモリス自動車を買って、残り僅かとなり「金持になって、不愉快な話」とも書く浪費家でもあった。

「身体が悪いし、悪いから、もっと働きたいので、坪三銭という土地をかりて、五十坪足らずの家を建てかけた、“日日”(本紙のこと)と“朝日”とを書いているので、そのどっちか一つで、建つと考えたからである。