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いくどめかのさいご
幾度目かの最期
久坂 葉子
線上閱讀久坂 葉子《幾度目かの最期(いくどめかのさいご)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 59,103 字 · 121 頁
あの男のにくしみは女の嫉妬よりも復讐よりも強いきたないものでございます。それはもう、あの男、あのひとを愛しておりましたから。私は、子供と会いました。元気にしておりました。母が私であることを知らないのでございます。今の母と二人で暮しているのでございます。あの子の父は私に生ませた子を、私からとりあげて、子供の生めぬ妻にもらい子したのだと与えたのでございます。その後、その男は何処へか行ってしまったことになっております。妻は大へん悲しんだらしく、しかし、あの子を愛して生きているのでございます。見知らぬ女、私と、夫からの仕送りをうけて生きているのでございます。それから、男爵夫人へもことづけをいたしました。偶然とは妙なものでございます。夫人の正式の主人、つまり男爵は私と幼な友達でございました。善良な彼は、妻の恋人のことを知りません。
最後に私は夫をたずねました。愛する、私の一番愛する人でございます。けれども、私が一番にくんでいる人でございます。私は、にげてまいりました。私は自分のにくしみが行為に現われることをおそれました。私は、自分を傷つけてもあの人を傷つけることはできません。