輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ざきょうにあらず
座興に非ず
線上閱讀太宰 治《座興に非ず(ざきょうにあらず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,872 字 · 4 頁
白麻のハンチング、赤皮の短靴、口をきゅっと引きしめて颯爽と歩き出した。あまりに典雅で、滑稽であった。からかってみたくなった。私は、当時退屈し切っていたのである。
「おい、おい、滝谷君。」トランクの名札に滝谷と書かれて在ったから、そう呼んだ。「ちょっと。」
相手の顔も見ないで、私はぐんぐん先に歩いた。運命的に吸われるように、その青年は、私のあとへ従いて来た。私は、ひとの心理については多少、自信があったのである。ひとがぼっとしているときには、ただ圧倒的に命令するに限るのである。相手は、意のままである。下手に、自然を装い、理窟を言って相手に理解させ安心させようなどと努力すれば、かえっていけない。
上野の山へのぼった。ゆっくりゆっくり石の段々を、のぼりながら、
「少しは親爺の気持も、いたわってやったほうが、いいと思うぜ。」
「はあ。」青年は、固くなって返辞した。
西郷さんの銅像の下には、誰もいなかった。私は立ちどまり、袂から煙草を取り出した。マッチの火で、ちらと青年の顔をのぞくと、青年は、まるで子供のような、あどけない表情で、ぶうっと不満そうにふくれて立っているのである。