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かげ
影
線上閱讀芥川 竜之介《影(かげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,337 字 · 21 頁
窓は、――二階の寝室の窓は、硝子戸をすっかり明け放った向うに、明るい室内を覗かせている。そうしてそこから流れる光が、塀の内に茂った松の梢を、ぼんやり暗い空に漂わせている。
しかし不思議はそればかりではない。やがてその二階の窓際には、こちらへ向いたらしい人影が一つ、朧げな輪廓を浮き上らせた。生憎電燈の光が後にあるから、顔かたちは誰だか判然しない。が、ともかくもその姿が、女でない事だけは確かである。陳は思わず塀の常春藤を掴んで、倒れかかる体を支えながら、苦しそうに切れ切れな声を洩らした。
「あの手紙は、――まさか、――房子だけは――」
一瞬間の後陳彩は、安々塀を乗り越えると、庭の松の間をくぐりくぐり、首尾よく二階の真下にある、客間の窓際へ忍び寄った。そこには花も葉も露に濡れた、水々しい夾竹桃の一むらが、………
陳はまっ暗な外の廊下に、乾いた唇を噛みながら、一層嫉妬深い聞き耳を立てた。それはこの時戸の向うに、さっき彼が聞いたような、用心深い靴の音が、二三度床に響いたからであった。
足響はすぐに消えてしまった。が、興奮した陳の神経には、ほどなく窓をしめる音が、鼓膜を刺すように聞えて来た。