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おはぎとななくさがゆ

御萩と七種粥

河上 肇

線上閱讀河上 肇《御萩と七種粥(おはぎとななくさがゆ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,614 字 · 23 頁

青空文庫

数え十五歳の時に、私は郷里の岩国学校(それは高等中学校の予備門となっていたもの)を卒業して、山口高等中学校の予科(高等中学校は当時本科三年、予科二年であった)に入学した。当時私は帰省する度毎に、大概叔母の所をも訪ねていたが、それはいつの休暇のことだったか覚えない、ただ私は一度そうした折に、叔母からおはぎを馳走されたことを記憶している。

叔母は私が甘い物の好きなのを能く知っていた。で、私が訪問すると、お前におはぎを拵えて食べさすと言って、台所の土間に下り立ち、餅米をといだり、小豆を煮たり、忙しそうに振舞いながら、私を待たせておいて、わざわざおはぎを作ってくれた。しかしその頃は、叔母がここへ移ってから数年を経過していた時だったので、叔母はもうすっかり田舎風になって居り、折角拵えてくれたおはぎも全くお百姓流のもので、生意気な学生である私の口には合わなかった。それは野良仕事をする人達の握飯みたいな大きなもので、ご飯ばかり多くて餡は少かった、砂糖も足りなかった。それに私はその頃神経質的に間食を避けていたので、正直に言えば叔母の好意は却て迷惑だった。しかし折角私のために作って呉れたものではあり、頻りに勧められるので、私はその大きな急拵えのおはぎを二つか三つ食べて帰った。