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おはぎとななくさがゆ

御萩と七種粥

河上 肇

線上閱讀河上 肇《御萩と七種粥(おはぎとななくさがゆ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,614 字 · 23 頁

青空文庫

私の父方の祖父才一郎が嘉永五年七月一日、僅か六畳一間の栗林家の門部屋で病死した時――栗林家の次男坊に生れた才一郎は、この時すでに河上家の養子となっていたが、養家の瀬兵衛夫婦がまだ生きていた為めに、ずっと栗林家の門部屋で生活していたのである、――彼の残した遺族は三人、うち長男の源介(即ち私の父)は五歳、長女アサ(即ち私の叔母)は三歳、妻イハ(即ち私の祖母)は二十五歳であった。これより十数年にわたり、私の祖母のためには、日夜骨身を惜まざる勤労努力の歳月が続いた。が、その甲斐あって、慶応三年という頃になると、長男源介は、すでに二十歳に達して禄十九石を食む一人前の武士となり、長女アサも十八歳の娘盛りになった。

かくて、私のために叔母に当るアサは、この年にめでたく藤村家に嫁いだ。残っている私の家の願書控を見ると、次のようなのがある。

「私妹此度藤村十兵衛世倅規矩太郎妻に所望御座候に付、応二真意一取組の内約仕置候間、其儀被二差免一被レ下候様奉レ願候、此段御組頭兼重重次郎兵衛殿へ被二仰入一、願之通り被二成下一候様、宜敷御取持可レ被レ下候頼存候、已上。

慶応三年丁卯四月十一日  河上源介」