輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《復員殺人事件(ふくいんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 頁

青空文庫

私から、今後をよくいましめますから、今度のところは見逃してやっていたゞけませんか」

と起久子の聟の滝沢が言った。そう言わざるを得ないのが滝沢であった。なぜなら、由之は、こういうことには風馬牛で、どちらかと云えば、神経質で、事々にイライラと女々しく騒ぎ立てる長男の公一よりも、むしろ牛のような下男一族を、かばう気風すらあったからだ。滝沢が、こういう風に口をきいてやらなければ、ウルサイ、と、一言のもとに、怒鳴りたつのが由之であった。

「まア、そうさ。兄さんみたいに、神経質にガミガミ云ったって、この戦争じゃア、我々だっていつ手でケツをふかなきゃならないか分りゃしないね。今だって、もう、ろくすっぽ、紙なんかありゃしないじゃないか。兄さんだって、今に、手でケツをふくようになるのかも知れないよ」

と、次男の安彦が和した。その言葉に嘲りなどはなかったが、ユーモアが、嘲りのように、公一のカンにひゞいた。

殺気立った公一は、やにわに安彦を殴り倒した。不意をつかれた安彦は、椅子と共に、部屋の隅にころげていた。

この一家族は、女達と、腺病質な公一をのぞいて、いずれも体格のガッシリしたスポーツマン一家であった。