輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

おもいちがいものがたり

思い違い物語

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《思い違い物語(おもいちがいものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 44,840 字 · 88 頁

青空文庫

二の二

こんなふうに云っているが、実際のところは洗濯町という下品な娼婦街で、なじみの娼婦のために剃刀で斬られたということであって、その当の娼婦から直接に聞いた者があるのだから、このほうが事実らしい。彼の名は本多孫九郎という。

「野村の吉太郎が典木を訪ねてゆきました」

彼は誰かをあざ笑うような表情で、こう云って、高頬の傷痕をぴくぴくと動かした。

「かれらは典木泰三に会見を申込んだのです、野村はその使者です」

二の二

泰三は午餉を喰べている。もう時刻が過ぎたので、喰べているのは彼一人。給仕には妹娘の津留が坐っていた。

「もう少し悠くり召上れな、それでは喉へつかえてしまいますわ」

「そんな声を出さないで下さい」泰三は箸を持った手で津留を制止し、その箸で醤油注ぎをひっくり返したので、慌ててそれを起こしたとたんに汁椀をはじき飛ばした、「――悠くり喰べたいんだが、そうしてはいられないんですよ、私はいそぐ必要はないんですがね、飯を下さい、茶がありますか、なにしろ大将がやきもきしている、茶を下さい、茶漬でかっこみましょう、大将は気が短いですからね、貴女だってそう思うでしょう」

「お茶をどこへおかけなさるの、みんなお膳へこぼれてしまいますわ、……あらあら、お袴が濡れてたいへんですわ」