輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あやしのやかた

怪しの館 短編

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《怪しの館 短編(あやしのやかた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 81,915 字 · 165 頁

青空文庫

駕籠は門口へ据えられたのでした。

往来を警戒するかのように、捕吏たちの多くはその門口に、かたまって立っていたのでしたが、その真ん中へ駕籠を据えられ、吉之助様や俊斎様に、そんなような態度に出られましたので、疑惑を起こさなかったばかりでなく、むしろ飽気にとられたような様子で、駕籠から離れてしまいました。

そこで私たち三人の者は、駕籠をその場へ舁き据えたまま、土間の中へはいって行き、上がり框へ腰をかけました。

と、この茶屋の娘らしい女が、茶をついだ湯呑みを盆にのせて、人混みの中を分けるようにして、ご上人様の駕籠の方へ歩いて行きかけました。

その時声が聞こえましたっけ。――

「ちょいと娘さん妾へおかしよ。……妾の方が近間だよ。……代わってお給仕してあげようじゃアないか」

綺麗な張りのある声でした。

門口に近い柱に倚って、甲斐絹の手甲と脚絆とをつけ、水色の扱きで裾をからげた、三十かそれとも二十八、九歳か、それくらいに見える美しい女が、そう云ったのでございます。痩せぎすで身丈が高く、抜けるほど色が白い、眼は切れ長で睫毛が濃く、気になるほど険があり、鼻も高く肉薄で鋭く、これも棘々しく思われましたが、口もとなどはふっくりとして優しく、笑うと指の先が沈むほどにも、左右に靨が出来るという、そういう眼に立つ女でした。