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こいとじってときんちゃくきり

恋と十手と巾着切

山中 貞雄

線上閱讀山中 貞雄《恋と十手と巾着切(こいとじってときんちゃくきり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,138 字 · 25 頁

青空文庫

と言って「急ぎやすから御免なせえ」と其の儘スタスタと去る。見送った鉄五郎、変に思ったが、其の儘三次とは反対の方向へ去る。

S=附近

鉄五郎やって来て立ち止った。

「待てよ」と考える。

T「てっきり彼奴」

と独り言、

T「朝ッぱらから一稼ぎしてやがるかも知れ無えぞ」

其辺で鉄五郎クルッと踵を反して走り去る。

S=稲荷神社境内

(茶店は腰掛茶屋である。つまり日中だけの営業で、日が暮れたら店を片付けて住居に帰る)

三次の奴が境内の茶店に腰をかけて嫌に嬉し相にしている。

茶店の娘のお絹が朝早いので、お客がない鬱晴らしに三次と世間話をしている。

S=附近

其処へ鉄五郎がやって来る。

二人の様子に一寸意外に思ったが、その儘二人の傍に来て三次の隣りの床几に腰を下ろす。

お絹が三次と語らいを止めて茶を汲みに家の中に入る。

それを見て鉄五郎が三次を見てニヤリと笑った。

三次一寸テレる。

鉄五郎が、

T「成る程ね、神信心もまんざら悪かァ無え筈よ」

と言われて三次真赤になった。もじもじしていたが、耐らなくなったか茶代を置いてそそくさと去る。

見送った鉄五郎が大笑いだ。(F・O)