輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《悪魔の紋章(あくまのもんしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 頁

青空文庫

妙子さんは故人とは一つ違いのお姉さん、川手氏にとって、今ではたった一人の愛嬢である。顔立ちも雪子さんにそっくりの美人、帽子から、靴下から、何から何まで黒一色の洋装で、ハンカチを目に当てながら、今にもくずおれんばかりの姿は、参拝者達の涙をそそらないではおかなかった。

予定の四時を過ぎる三十分、やっと参拝者が途切れたので、愈々引上げようと、人々がざわめき始めた頃、妙子さんも歩き出そうとして一歩前に進んだとき、悲しみに心も乱れていたためか、ヨロヨロとよろめいたかと思うと、バッタリそこへ倒れてしまった。

それを見ると、人々は彼女が脳貧血を起したものと思い込み、我先に側へ駈け寄って、介抱しようとしたが、妙子さんは、傍らにいた親戚の婦人に抱き起され、そのまま自動車に連れ込まれて、別段の事もなく自宅に帰ることができた。

自宅に帰ると、彼女は何よりも独りきりになって、思う存分泣きたいと思ったので、挨拶もそこそこに、自分の部屋に駈け込んだが、そこに備えてある大きな化粧鏡の前を通りかかる時、ふと我が姿を見ると、右の頬に黒い煤のようなものが着いているのに気づいた。

「アラ、こんな顔で、あたし、あの多勢の方に御挨拶していたのかしら」