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わがばけんてつがく

我が馬券哲学

菊池 寛

線上閱讀菊池 寛《我が馬券哲学(わがばけんてつがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,169 字 · 5 頁

青空文庫

次ぎに載せるのは、自分の馬券哲学である。数年前に書いたものだが、あまり読まれていないと思うので再録することにした。

一、馬券は尚禅機の如し、容易に悟りがたし、ただ大損をせざるを以て、念とすべし。

一、なるべく大なる配当を獲んとする穴買主義と、配当はともかく勝馬を当んとする本命主義と。

一、堅き本命を取り、不確かなる本命を避け、たしかなる穴を取る、これ名人の域なれども、容易に達しがたし。

一、穴場に三、四枚も札がかかると、もう買うのが嫌になる穴買主義者あり、これも亦馬券買いの邪道。

一、穴場の入口の開くや否や、傍目もふらず本命へ殺到する群集あり、本命主義の邪道である。他の馬が売れないのに配当金いずれにありやと訊いて見たくなる。甲馬乙馬に幾何の投票あるゆえ丙馬を買って、これを獲得せんとするこそ、馬券買の本意ならずや。

一、二十四、五円以下の配当の馬を買うほどならば、見ているに如かず、何となれば、世に絶対の本命なるものなければ也。

一、然れども、実力なき馬の穴となりしこと曾てなし。

一、甲馬乙馬実力比敵し、しかも甲馬は人気九十点乙馬は人気六十点ならば、絶対に乙を買うべし。