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しょうきょく

「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8

橋本 五郎

線上閱讀橋本 五郎《「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8(しょうきょく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,896 字 · 12 頁

青空文庫

「そうそう、あの晩のことだ。あの時、ほら、向うの卓子にいた二人連ね。いやに眼の鋭い男と、洋装の美人の二人連がいたね。君、あの人たちを覚えてやしない?」

「こうっと」

と女給は首をかしげて、

「ああ、分りましたわ。だけど、あの人たち二人連じゃありませんでしたわ。三人連だったのよ」

「三人連れ? そうかな、こちらからは二人しかみえなかったが」

「そうね。もう一人の方は植木の蔭に坐っていらしたから、こちらからは見えませんわねえ」

「ふうん、成程、じゃ、二人連でも三人連でもいいから、君、その人たちを知っているの」

「ええ、お一人だけはよく存じておりますわ。とても有名な方ですもの」

「ええ、有名って? どの人だね、あの男がかね?」

「いいえ、そうそう、こちらからは見えなかった方、棕梠の蔭に坐っていらした方ですわ」

「それで、その男は何者だね?」

星田代二は思わず急き込んでそう訊ねた。

「あら」と、女給は笑いながら、「その方、男じゃありませんわ。女の方よ、ほら、あなたも御存じでしょう? 三映キネマのスタア、宮部京子よ」

「ナ、何んだって、宮部京子があの晩一緒だって……」

突然、星田は椅子から飛び上りそうになってそう叫んだ。