輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《探偵夜話(たんていやわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 140,363 字 · 277 頁
男は二百円ほどの金を持っていて、その金の尽きた時が二人の命の終りであるということも、お互いのあいだに堅く約束されていた。
「上原さんはきっと急に気が変わって、あたしを置き去りにして逃げたに相違ありません。」と、好子はくやしそうに泣いて訴えた。
この場合、そうした偏僻や邪推の出るのも無理はなかった。知らない東京のまんなかへ突き出されて、一緒に死のうとまで思いつめている男に振り捨てられたとなれば、定めて悲しくもあろう。口惜しくもあろう。深田君もひどく彼女の身の上に同情したが、その男が果たして変心したのかどうか、実はまだ確かに判らないのである。もし変心しないとすれば、かれらは早晩死の手につかまれなければならない。変心したとすれば、女は一人で捨てられなければならない。いずれにしても、不運は好子という女の上に付きまとっているのである。深田君はなんとかしてかの女を救ってやりたいと思った。
男が無事に帰って来たらば、その突きつめた無分別をさとしてやろう。男が果たして帰らなかったらば、女に旅費を持たせて前橋へ送り返してやろう。深田君は二つに一つの料簡をきめて、親戚の娘と共に好子をしきりになだめていると、それから一時間ほども経った頃に、家の女中たちが庭をさがし歩いているような声がきこえた。