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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《探偵夜話(たんていやわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 140,363 字 · 277 頁
「しかしほかの事と違いますから、誰が出来心でどんなことをしないとも限りません。ともかくも十一番の座敷へ出まして、詳しいことを伺ってまいりましょう。」
主人と番頭は古河君と一緒に表二階へあがっていくと、婦人は蒼ざめた顔をして火鉢の前へ坐っていた。主人からいろいろのことを訊かれても、彼女は歯がゆいような返事をしていた。そうして、結局こんなことを言った。
「そんなに皆さんをお騒がせ申しては済みません。なに、ほかに類のないという品じゃありませんから、そんなに御詮議をなすって下さらないでもよろしゅうございます。」
「いえ、あなたの方ではそう仰しゃっても、手前の方では十分に取り調べをいたします。」
こう言って、主人と番頭は引きさがった。雪はまだやまないので、婦人はもう一日滞在すると言っていた。古河君もむろん出発する勇気はないので、遅いあさ飯を食って、風呂にはいって、再び衾を引っかぶってしまった。狸の皮の問題で一時興奮した神経もだんだんにしずまって、かれは午過ぎまで好い心持に眠った。
「随分よくお寐られますね。ほほほほほ。」
女中に笑われながら、古河君が遅い午飯の膳の前に坐ったのは、もう午後三時を過ぎた頃で、勿論それまでに女中が幾度も起こしに来たが、古河君はなかなか目を醒まさなかったとのことであった。