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ほうろう

放浪

織田 作之助

線上閱讀織田 作之助《放浪(ほうろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,614 字 · 47 頁

青空文庫

三

三

夜が明けて、文吉は天王寺市民病院へ担ぎ込まれた。雑魚場から帰ったまゝの恰好で順平がかけつけた時は、むろん遅かった。かすかに煙を吹き出していたようだったと看護婦からきいて、順平は声をあげて泣いた。遺書めいたものもなかったが、腹巻の中にいつぞや出した古手紙が皺くちゃになってはいっていたゝめ、順平に知らせがあり、せめて死に顔でもみることが出来たとは、やはり兄弟のえにしだといわれて順平は、どんな事情か判らぬが、よく/\思いつめる前に一度訪ねてくれるなり、手紙くれるなりしてくれゝば、何とか救う道もあったものをと何度も何度も繰り返して愚痴った。病院の食堂で玉子丼を顔を突っこむようにして食べていると、涙が落ちて、何がなし金造への怒りが胸をしめつけて来た。

が、村での葬式を済ませた時、ふと気が付いてみると、やはり、金造には恨みがましい言葉は一言もいわなかった様だった。くどく持ち出された三十円の金を、弁償いたしますと大人なしく出て、すご/\と大阪へ戻って来ると丁度その日は婚礼料理の註文があって目出度い/\と立ち騒いでいる家へ料理を運び、更くまで居残ってそこの台所で吸物の味加減をなおしたり酒のかんの手伝いをしたりした揚句、祝儀袋を貰って外へ出ると皎々たる月夜だった。