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いけぶくろのかい
文藝別冊[総特集]岡本綺堂
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《文藝別冊[総特集]岡本綺堂(いけぶくろのかい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 72,671 字 · 149 頁
兎も角ももう少し手繰ってみちゃあどうです。
半七 むむ。
(半七はやはり考えている。向うより大和屋十右衛門、四十五六歳、相当の町家の主人の風俗にて出で来たり、内をうかがいて丁寧に案内する。)
十右衛 御免ください。
亀吉 あい、あい。(出る。)どなたですえ。
十右衛 三河町の半七親分のお宅はこちらでございましょうか。
亀吉 そうですよ。どこからお出でなすった。
十右衛 わたくしは芝の露月町で金物渡世をいたして居ります大和屋十右衛門と申す者で、親分さんにお目にかかりまして、少々おねがい申したいことがございますが、お宅においででございましょうか。
亀吉 ちょいと待っておくんなさい。(引っ返して来る。)親分。
(半七は黙って考えている。)
亀吉 おい、親分。ぼんやりしていちゃあいけねえ。お客ですよ。
半七 (気がついて振向く。)そうぞうしいな。誰が来た。
亀吉 露月町の金物屋で大和屋十右衛門という人だそうです。
半七 なにしろこっちへ通すがいい。
亀吉 (入口へ来て。)さあ、どうぞ。
十右衛 ごめん下さい。
(十右衛門は丁寧に会釈して内に入る。亀吉は手あぶり火鉢を出し、茶の支度をする心で台所に入る。