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いけぶくろのかい

文藝別冊[総特集]岡本綺堂

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《文藝別冊[総特集]岡本綺堂(いけぶくろのかい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 72,671 字 · 149 頁

青空文庫

したがって、湯屋や髪結床の評判が芝居や寄席の人気にも相当の影響をあたえたらしく湯屋の脱衣場や流し場には芝居の辻番附や、近所の寄席のビラが貼られていた。

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日清戦争以後の頃から著るしく目立って来たのは、美服を着て湯屋へゆく人の多くなった事である。女客は格別、男客は不断着のままで入浴に出かけるのが普通で、湯屋へ好い着物をきて行くと盗難の虞れがあるとも云い、十人が十人、木綿物を着て行くのを例としていたが、その風俗が次第に変って、銘仙はおろか、大島紬、一楽織の着物や羽織をぞろりと着込んで、手拭をぶら下げてゆく人も珍しくないようになった。一般の風俗が華美に流れて来たことは、これを見ても知られると、窃に嘆息する老人もあったが、滔々たる大勢を如何ともする事は出来なかった。

それを附目でもあるまいが、湯屋の盗難は多くなった。むかしから「板の間稼ぎ」という専門の名称もあるくらいで、湯屋の盗難は今に始まったことでも無いが、警察から屡々注意するにも拘らず、男湯にも女湯にも板の間かせぎが跋扈する。それを防ぐために、夜間混雑の際には脱衣場に番人を置くことになったが、大抵は形式的に十四五歳の少女を置くに過ぎず、夜が更けると居睡りなどをしているのが多いので、これ等の番人は案山子も同様と心得て、浴客自身が警戒するの