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くろかべ
文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁(くろかべ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 72,070 字 · 143 頁
なお当の南方氏である、先年西牟婁郡安都ヶ峯下より坂泰の巓を踰え日高丹生川にて時を過ごしすぎられたのを、案じて安堵の山小屋より深切に多人数で捜しに来た、人数の中に提灯唯一つ灯したのが同氏の目には、ふと炬火数十束一度に併せ燃したほどに大きく見えた、と記されている。しかも嬉しい事には、談話に続けて、続膝栗毛善光寺道中に、落合峠のくらやみに、例の弥次郎兵衛、北八が、つれの猟夫の舌を縮めた天狗の話を、何だ鼻高、さあ出て見ろ、その鼻を引いで小鳥の餌を磨ってやろう、というを待たず、猟夫の落した火縄忽ち大木の梢に飛上り、たった今まで吸殻ほどの火だったのが、またたくうちに松明の大さとなって、枝も木の葉もざわざわと鳴って燃上ったので、頭も足も猟師もろとも一縮み、生命ばかりはお助け、と心底から涙……が可笑しい、面屋と喜多利屋と、這個二人の呑気ものが、一代のうちに唯一度であろうと思う……涙を流しつつ鼻高様に恐入った、というのが、いまの南方氏の随筆に引いてある。
夜の燈火は、場所により、時とすると不思議の象を現わす事があるらしい。
幸に運転手が猟師でなかった、婦たちが真先に梟の鳴声に恐れた殊勝さだったから、大きな提灯が無事に通った。