輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

うきふね

文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集(うきふね)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,938 字 · 67 頁

青空文庫

が、誰だか分らぬ。思い当る誰もない。

「失礼ですが、つい……誰方ですか――暗いので。」

「暗い方が結構です。お恥かしいんですもの。……あなたには、まことにお心づけを頂きまして、一度、しみじみお礼を申しとう存じました。」

「……失礼ですが、全く何うも……」

「ええ、あの、私の方は、よく存じておりますんですよ。……」

(――そうすると、二人の女が、船を抜けて、船を抜けてから、はじめて、その何とも言えない顔で、学生を振向いて、にこりと笑った。村の方では、遠吠の犬がびょうびょうと鳴くし、丑満の鐘。……)

「可厭ですね、まあ、犬は可厭でございますこと。」

一層声が低かった。が、うっとりと優しい顔、顔、顔よりも、生際がすっきりと髪の艶が目に立った。

「坊主も可厭ですわ。」

「何処に居ます。いま……」

「あ、あれ、かねつけ蜻蛉が飛びますの。」

この声がきこえたろう。女たちの顔が、ちらちらと乱れて、その瞳も、その髪も、恰も黒い羽のようにちらついた。ひらひらひらひら。

真三にものを言った女は、その中の誰であったか、袖のいろいろに紛れて、はらはらと散る香水と、とめきの薫に紛れたのである。