輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《新宝島(しんたからじま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 頁
しかし、一郎君はその熱ささえも感じませんでした。
目の前には、ただ一枚の板が、――三人の命の板ともいえる一枚の板があるばかりです。一郎君の二本の腕は、まるで鉄でつくった機械のように、その板で水を掻きつづけました。もう人間わざとは考えられません。一郎少年のからだには、何かが乗り移っているようです。
おお、ごらんなさい。非常な早さで流されている筏が、少しずつ少しずつ洞窟の左側へ向きをかえて行くではありませんか。うまいうまい、この調子なら、筏が火の柱を通りすぎる時には、洞窟のすみの一番安全な所を流れるにちがいありません。ああ、少年たちは助るかも知れません。
一郎君は何も見えませんでした。ただもう機械のように板を動かしていました。しかし、筏は火の柱から十メートルほどにせまっていたのです。
その時、かわいそうなことが起りました。
例の眼鏡猿と鸚鵡とは、いつの間にか、抱かれていた保君の手をはなれていたのですが、怖わさのあまり、けたたましい鳴声を立てて、死にもの狂いに飛びまわるものですから、とうとう二匹とも、くくってあった紐がとけてしまったのです。
紐がとけると同時に、眼鏡猿は流の中へ身をおどらせ、鸚鵡はパッとまいあがって、何と思ったのか、火の柱を目がけてとびこんでいったのです。