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しんたからじま

新宝島

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《新宝島(しんたからじま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 頁

青空文庫

その袋にはバナナと缶入りのビスケットが、どっさり入っていたのです。殊にバナナの方は、メナド港で積みこんだ、木からちぎったばかりの新しいやつで、日本の内地などでは思いも及ばぬほどおいしいのです。

「じゃ君は、僕達がこんな目にあうことを、ちゃんと知っていたのかい」

一郎君が、さもおいしそうに、口をモグモグやりながら、不思議らしくたずねますと、自分も口を動かしながら、片手で犬にビスケットをたべさせていた保君が、ニコニコして答えました。

「そうだとえらいんだけどね、ハハハ……、ほんとうは、僕が食いしんぼうなのさ。あの時、メナド港につくまでの間に、おなかがすきそうな気がしたので、賊の料理場から失敬して来たのだよ」

「どうして、それを今までかくしていたのさ」

「だって、君達はいつでも、僕を食いしんぼう、食いしんぼうっていうんだもの。はずかしかったんだよ」

保君は無邪気に笑いながら、とうとう白状してしまいました。

でも、保君の食いしんぼうのおかげで、三人は、倹約してたべれば、二日ぐらいは、腹をすかさないでもいいことがわかって、大安心でした。保君が慾ばってうんとこさと持出して来てくれたのが、思いもかけぬ仕合せになったのです。