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しんしゅん・にほんのそらをとぶ
新春・日本の空を飛ぶ
線上閱讀坂口 安吾《新春・日本の空を飛ぶ(しんしゅん・にほんのそらをとぶ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,136 字 · 5 頁
元旦正午、DC四型四発機は滑走路を走りだした。ニコニコと親切な米人のエアガールが外套を預る。真冬の四千メートルの高空を二〇度の適温で旅行させてくれる。落下傘や酸素吸入器など前世紀的なものはここには存在しない。爆音も有って無きが如く、普通に会話ができるのは流石である。
読売社の年賀状をまくために高度六百メートルで東京を二周する。神宮と後楽園の運動場が意外に大きい。ビルディングは小さなオモチャ。機上から見た下界の物体は面積の大小しか存在しない。
第一周はみんな珍しがって窓に吸いついていたが、二周目には音がないから振りむくと、一同イスにもたれ飛行機は何百回も乗り飽いてるよとノウノウたる様子。チェッ、珍しがっているのはオレだけか。相棒の福田画伯だけセッセとスケッチしているから、私も商売。ひがむべからず。
低空飛行は苦痛だ。四発の大きな図体を窮屈そうにかしげて最小限の緩速で旋回しているから、フワッと沈むエレベーターのショックが間断なく続き、その激しい時は失速して落ちそうなショックをうける。飛上して三分目に、すでに吐き気に苦しむ。東京上空旋回廿分。高度あげつつ横浜から横須賀へ。