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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁
「なにしに来たんだい」
「入門しに参ったのだ」
「入門。――おらみたいに先生の弟子になる気かい」
「うん……。お前とも兄弟弟子になろうじゃないか。いずれ仲よくしなければならない二人だ。意地のわるいこといわずに先生へ取次いでくれ。飯の焦げないように、竃の下は、わしが見ていてやるから」
「いいよ。嫌だよ」
「意地がわるいなあ。……あれあの通り、奥で先生のお咳の声がするじゃないか」
「それやするさ。先生は夜になると咳が出るんだ。体が弱いから……」
「それ御覧。さっきはお留守だといったくせに」
「いても留守でも同じだよ。どこの国のどんな人が訪ねて来たって、会った例しはないんだから」
「じゃあ、時節を待とう」
「うん……またおいで」
「いや、この竃部屋は暖かくていいから、しばらく逗留させておいてもらおう」
「冗談お云いよッ。帰れッてば! ……」
ほんとに怒りだしたとみえ、童子は突っ立ちざま一喝をくらわせた気で云った。けれど竃の赤い火に、てらてら揺れ浮いている藤吉郎の笑顔を睨んでいると、いくら怒ろうとする眼も怒れなくなった。
童子は、彼の顔を、じっと睨みつけているうちに、初めは――イヤな奴、と思っていた感情が、だんだんそうでもなくなって来た。