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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁

青空文庫

兵糧の運搬でも手伝わんか」

「私の任でございません。この際、私は私のすることがあろうと探しております」

「たわけめが、探している間に敵が襲って来るわ。そのためにうろついていたのか」

「いえ、何がなよい茶花を一枝見つけて、手折って帰りたいと思いまして」

「茶花を。……なんだ、茶花とは」

「茶事に用いまする。こよい日頃の町役の十人を招いて、この際ですから、ただ一枝の花だけを馳走に、釜をかけて、篤と話したいとぞんじまして――その花を求めに、ついかような所まで歩いて参りましたわけです」

「町役をよんで茶をやる気か? ……。こら、正気でいう返辞か」

言語道断といわぬばかりな眦である。宗易がすましているので、揶揄われたという気持もうけたに違いない。

「おいッ、ちょっと来てくれ」

怒気をたたえた面を振り向けて、彼方の空壕工事の下から同僚の武者を呼び出した。――その間も、宗易を逃がさぬように、きッと側に寄り添っている。

「なんだ?」

「何事か」

集まって来た同僚に、宗易を咎めた武士は、宗易の申し立てを、もっと悪意を加えた意味で、云々と告げた。

「十人衆の納屋宗易か」

武士たちは、尖った眼で、宗易のすがたを、頭から足もとまで見おろしながら――不届きな云いぐさだ、不埒な町役である。