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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁
釜の湯がひそやかに鳴っている。――ふしぎな静寂のうちに、ふしぎな理を客は説かれていた。なぜならば、室町制度の長い伝統が、やがて一変するなどということは、こうなってもまだ堺町人の常識では、考えられないことだったからである。
「今思うと、この堺は、去年織田殿の軍が、入洛した当時に、みずから作ってしまった今日の危急だったという気がします。――あの折、織田殿の名をもって、この堺へも、二万金の賦課がいい渡されたのです。それを、背後にある三好党の使嗾で、わしたち堺の代表者は、きっぱり刎ねつけました。――そして、三好党の残党を入れ、織田軍が襲するものなら、結束して一戦も辞すまいなどと、強がりましたが、年が明けると、果たして、織田殿は二度目の上洛を機として、堺へ軍をすすめて来ました。……考えてみると、嗤うべき不明といえましょう。時流へ逆行して、みずから滅亡を招いている愚者は、かくいう宗易をはじめ、堺の十人衆というものではありますまいか」
宗易から、諄々と説かれて、伝統の根のふかい土地の首脳も、初めて、そうかと悟った。
――では、どうして、危急に迫った堺を兵火の禍いから救うかと問われて、宗易は、直ちにいった。