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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁

青空文庫

ない。

で、大井川を境に、駿河一円は、武田家の有となり、遠州は、徳川家の領になった。

永禄十三年の正月、家康は、岡崎の城に、竹千代をおいて、自分は遠州の浜松のほうへ移った。

二月になると、信長から祝賀の使者が来た。

「自分も去年は、宿志を展べて、いささか寸功を挙げたが、御身におかれても、一躍、遠州の肥沃を御領土に加えられて、歓びこの上もない。併せて、織徳両家の同盟のうえにも、一層、強固を加えたものと存ぜられる」

そういった意味に、書中の祝詞は陳べられてあった。

こえて、その月の二十五日、家康は、信長の誘いで、京都へ上ることになった。――洛中の春を愛でながら、花の下に、少々日頃の疲れを慰め合おうではないか。――表面はそういうことだったが、同盟の二国主が、伴れ立っての上洛なので、世上ではまた、

「何事かあるな」

と、政治的な眼で見ていた。

けれど、信長のこんどの旅は、実に華美でまた悠長であった。途々、家康のために、鷹を放って、終日、野に鷹狩をして遊んだり、夜は、里人の俚謡や土俗舞を客舎に演じさせて酒宴したり、いかにもただ旅を楽しむための旅としか見えなかった。