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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁
――御推量くださらばありがとうぞんじます」
「う、うむ」
信長は、かえって、彼の心根を欣んだ。そういう心根は、やがて自分にも、頼もしい家臣といえるからである。
「では、改めて命じる。手許にあるこの絵図は、余りに粗雑でもあり、どうやらだいぶ間違うている個所もあるやに思われる。そちの所持する地の図と、照しあわせ、加筆してさし出すように」
「承知いたしました」
光秀の手には、信長の手許のものとは、比較にならないほど、細密な地図があった。彼は、いちど退って、休息した後、自分の地図のほうを信長へ献じた。
「そちは、余の帷幕にいて、地勢を按じ、また、参謀として、軍議にもあずかるがよい」
信長は、以来、彼を本陣から離さなかった。
朝倉方の一将、匹田右近が守るところの手筒ヶ峰の城は、まもなく陥落した。――けれど、金ヶ崎は、たやすく陥ちなかった。
金ヶ崎の城には、朝倉義景の一族の朝倉景恒が踏みとどまっている。景恒は、当年わずか二十七歳の弱冠であったが、幼少の時、僧になっていたのを、
(あの筋骨と、天生の武略を、僧門におくのは惜しい)
といわれて、還俗を強いられ、直ちに、一城を持たせられたほど、朝倉家の中でも、群をぬいていた人物だった。