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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁
「それが悪い」
「悪いとは」
「あなたの頭から、その観念が抜けきれぬ。猿々と、顎で追い使っていた頃の先入主が邪げて、今のあの男の正しい相が見えなさらぬのじゃ」
「そうであろうか」
「わしは、きょうほど驚いたことはない」
「何で?」
「あの使者の顔を見た途端にじゃ。あの顔は、世にいう異相というものだ。わしは好んで骨相を学び、人の相を観るのを業とはせぬが、その骨相人品をもって、その人間の人となりを察し、独り胸にたたんでおくと、他日意外な役に立つことがある。――で驚いたのだ」
「あの猿顔に」
「そうじゃ。あの男はへたをすると、後日、天下をうごかす程な人間になるかもしれぬ。この日本の国でなければ、帝王の相といってもよいくらいだ」
「……客僧。何をいうか」
「だから、お笑いになろうと思って、先にお主の頭についてお断りを告げておいたのじゃ。先入主をお除きなさい。人を観るには、眼で見ずに、肚で観ることだ。――もし今日、あの使者を拒んで帰したならば、あなたは百年の悔いをのこしますぞ」
「どうして客僧には、左様な信念をもって、こんな他人の大事を断言できるのか」
「人相のみで申すのではありません。