輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁

青空文庫

と、時折、嵎を負うて、虎のごとく、余勇を国境にふるって来た。

諏訪ヶ原の城を攻めて、これを一時奪回したり――小山城の急変に駈けて、たちまち矛を転じ、駿河に火を放って、家康を急襲せんと試みたり――とにかく端倪できないものがなおあった。

けれど、次第に、そのうごきは盲動になって来た。あきらかな方向を持ち得ない――また悠々たる緩急を取り得ない――奇変一法の兵となった。

実体の力が激減して来た証拠と云い得られる。かくて、さしも新羅三郎以来二十幾世という御旗楯無の名家も、いつのまにか、二流国に下がってしまった。

――が、それらの事々はすべて後のことで、信長は、大戦が終るとすぐ、五月二十五日、長篠の陣々を払って、岐阜へひきあげた。

そして、徳川家から、

「御礼のため」

として使節に来た奥平貞昌と酒井忠次とを岐阜城の奥へひいて、

「あの時は。この折は」

と、合戦中の思い出ばなしを、自分からも語り、二人にもたずねて、夜もすがら杯をあげた。

ふたりが帰る折は、

「忠次には、わが愛刀を」

と、刀を贈って、功を賞し、また奥平貞昌には、自分の名の一字を与え、

「貞昌を改め――信昌と名乗るがよい。