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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁

青空文庫

「人の和、それが第一にござりますゆえ、丹羽どのなどは、適任かと存ぜられますが」

「五郎左か。よかろうな」

と、実は、信長の意中もそこにあったらしく、大きくうなずいて、

「ときに、これは蘭丸の献策じゃが、このたびの築城には、その構造の中心を、天守閣におこうと思う。――天守閣を築く是非はどうじゃ」

と、訊ねた。

光秀は、答えなかった。

眼のすみから蘭丸のすがたを見ていた。

「天守造りの可否をおたずねにございますか」

「そうだ。あるがよいか。ないがよいか」

「もちろん、あるべきにございましょう。威容の上からも」

「天守閣の様式にも、いろいろあろうな。そちは若年の頃、諸州をあるいて、築城にも詳しいと聞いておる。忌憚なくそちの構想を聞かせい」

「……浅学の私如きには」

光秀は、謙遜って、

「むしろ、そこにおられる蘭丸どのの方が、御精通でしょう。諸国遊歴中も、天守閣をそなえた城と申しては、ほんの二、三しか見ておりませぬし――それも至って幼稚な構造。蘭丸どのの御献策とあれば、かならずそれについて、お考えもあるでござりましょうゆえ」

と、何か憚るようにいった。

信長は、ふたりの細かい神経などは見くらべていなかった。