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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁
(さてさて、思いきって登用なされた君のお眼もお眼だが、羽柴どのも、これで誰にも劣らぬ一方の大将とはなられた。信長公の御知遇に酬わでやあるべき。近ごろの快事快事)
と、祝福してくれたそうであるが、それに反して、甚だしく不満らしかったのは、元老の柴田勝家であったという。
(なに。征西の大将として、あれが、御任命に相成ったと。……あれが行くのか?)
羽柴とも、筑前ともいわず、あれがかといって、傍人に口汚く嗤ったそうである。
(なにができる)
と、いわぬばかりに。
もっとも、彼の眼からそう見えるのも仕方がない。まだ秀吉が信長の草履をつかみ、厩で馬と共に起臥していた一介の御小人時代から、彼はすでに織田家の重臣だった。
しかも今は――さきに浅井長政の室であった信長の妹お市の方をその後妻にむかえて、越前北ノ庄を居城とし、所領三十余万石という大身である。先頃の北国陣に総帥としてあったときには、自分の命にそむいて無断、長浜へ帰ってしまった秀吉でもある。彼としては、
(何で正直に歓べるか)
と、云いたいところであろう。まして中国攻略については、宿老として、ずっと以前から、いろいろ政治的な工作も蔭ではやってきた勝家である。