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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁

青空文庫

「まだ、戦いらしい戦いもせぬうちから、敗北を予期するなど、そちもすこし、毛利の軍勢に気を呑まれたか」

「敗れると知れ切っている戦をするのは、君に忠なるものと考えておりません」

「そう感じるほど、中国勢は強いのか。士気旺んか」

「旺んです。元就以来、分を守って、かたく国内の強化に励み、富は越後の上杉や、山国の武田家などの比ではありません」

「富める国が、かならず強いか。ばかな」

「いやいや、その国富の如何にもよります。その毛利に華奢驕慢の風があれば、怖るるに足らないのみか、むしろ乗ずべきですが、吉川、小早川の二将はよく輝元を扶けて、先主の遺風をまもり、将士はふかく徳になずみ、士道堅固で、たまたま、捕虜とした一兵卒といえども気概凛々、敵愾心に燃えているのを見ては、――中国の攻略――これは難事のうちの難事業と、痛嘆せずにおられません」

「筑前筑前」

信長は気に入らない顔を示して、急にこう遮った。

「三木城のほうはどうじゃ。――信忠をさし向けてある三木城は」

「御嫡子の御威光をもちましても、容易には落ちますまい」

「城主の別所長治とは、どんな将か」

「あれも人物です」

「そちは、敵のみを褒める」