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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁
「実はこうでござる」
秀吉は、自分が独断で取り計らったことが、主君の気を損じた原因であると、まず無造作に、内輪を割って、
「――それがしの計らいをもって、要らざる独断と、御立腹された公の御腹中には、つまり、こういうお考えが横たわっておる。……失礼なれど美作、備前の二ヵ国などは、遅かれ早かれ織田家のもの。それをいま、宇喜多家と和議をむすぶなど、毛頭不必要である。第一、宇喜多家そのものを取り潰さねば、その分国を諸将の功労に分けて取らせることもできぬ。かたがた、安土の命も仰がず、言語道断な――と、まずこういったようなところに、お怒りの解けぬ理由があるわけでござる。ははは」
笑いながら話していることだが、元々、秀吉のそのことばには、寸毫の嘘もないのであるから、やましさのない真実の力は、微笑の裡にも充分相手を圧して来る。
直家の顔は、酔いも血の気も失ってしまった。
威圧といえばこんな酷い威圧はない。しかし、信長がそう考えているだろうということは疑えなかった。
「……で、御機嫌がお悪いのでござる。それがしにも目通りを許さず、あなたにも会わないわけです。断じてお考えをつらぬこうという御意志らしい。