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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁
「こんな噂は、前からありましたが――」
と、蘭丸は答えていう。
「荒木どのの家臣の中で、石山の本願寺方へ、兵糧米を売りこんだ者があるらしいのです。なにしろ、大坂方はいま米がないので困っています。陸路はあらかた遮断され、海上は織田家の水軍九鬼どのの手で封鎖されておりますから、毛利の兵船から輸送されてくる見込みも立たなくなりました。……で、米価は刎ね上がり、大坂城の粮米は欠乏を極めておりますため、これに米を密売すれば、莫大な利をえられるにきまっている。……それを村重の家臣がやったことが、露顕しかけたので、信長公から罪を問われることを恐れ、先手を打って、叛旗をひるがえしたものだろうと、専ら沙汰する者がありますが」
「それは、敵の撒いた反間苦肉のうわさ。根もない嘘ときまっている」
「私も嘘だと思います。私の察しるところでは、日頃、荒木どのの功を妬ましげに見ておる――或る人間の讒言が、害をなしたと思っております」
「或る人間とは?」
「明智どのです。いつ村重どののうわさが出ても、明智どのには、御主君へ対し、よく云っていたことがありません。――いつもお側に聞いていて、ひそかに、今日あることを、私なども、憂いていた一人でしたが――果たして」