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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁

青空文庫

けれど彼自身は決して自分で考えてみたことはない。

――こうやるべきだ。

――そうしては戦にならん。

などと、副将の資格をもって、大いに謀議を論じたことはいうまでもない。そして自己の意見が、用兵作戦のうえで、秀吉にも信忠にも、採用されたためしはなかった。

(おもしろくないやつだ)

秀吉にたいして、彼がこう感じたことは、二度や三度ではない。しかるに彼自身が腑甲斐なく思うことには、秀吉の顔を見ると、その反感が出せなくなるのである。

(あいつはおれを誤魔化すことに妙を得ておる。あれは苦手じゃよ)

ときどき鬱憤をもらしながら自分の家臣にもよく哄笑して見せることがある。いくら腹が立っても怒れない相手というものは世の中に往々存在する。村重にとって、まさに筑前という男は、そんなふうに考えられた。

上月城を攻めたときなども、村重は前線にありながら、一方の山に陣したきり、戦機が熟して来ても秀吉から命令があっても、拱手して戦わなかったことなどもある。

(なんであの時、撃って出なかったか)

と、あとで秀吉からとがめられても、持前の剛毅な態度をもって、

(気がのらない戦には手が出せん)