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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁
「死後のことも、お考えになることがあるか」
「それはある」
「あるとしたら……こんどの思い立ちは、貴公として、取り返しのつかぬことをされたものだ」
「なぜ」
「大恩ある御主君にたいして弓をひいたとの悪名は百世まで消え去るまい」
「…………」
村重はだまってしまった。こめかみが太くなるほど、それに対しての感情は抱いているが、理をもって駁す才弁は持ちあわせていない。やはり正直者ともいえる部類のひとりに違いなかった。
「御酒のしたくが調いましたが……」
と、そこへ家臣が告げて来た。村重は救われたように、
「や。そうか」
と、客より先に立って、
「孝高、奥へござれ。何はともあれ、久しぶりだ。一献まいらそう」
と、誘った。
村重としては、余裕を示したつもりであろう。本丸の奥に酒宴をもうけて、大いに官兵衛をもてなした。酒間となると、おのずから理窟は封じられる。村重の顔いろもだいぶ解けた。――ところでまた、官兵衛は、
「どうだ、摂津。この辺で、よいほどにしておかれては」
と、そろそろ問題へ触れて行った。
「よいほどにとは」
「つまらぬ強がりを」
「おれは何も強がるために、こんな大事を覚悟したのではない」