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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁
笑止笑止」
真ン中とおぼしき所へ、彼は胡坐を組んでみた。尻が冷たい。しかし莚ひとつここにはないらしい。
(――脇差は奪り上げられなかった)
これは、ありがたい気がした。これさえあれば、いつでもと思う。
尻は凍えても、気は凍えぬぞと、無言に自分へいいきかせる。こんなときは、青年の頃、よく頑張ってやった禅などが、多少は役に立つかもしれぬ。そんなこともぼつぼつ考え出す。
(いや、おれが来てよかった)
次に、思い出したのは、これだった。もし、秀吉自身来ていたらと、大難が小難ですんだことに感謝をもつ。
「…………」
いつかしら眼も半眼に、ともかく心をなだめていた。落着いてみると、ここへ歩いて来るあいだは、決して沈着を失っていないつもりであったが、血のさわいだ後が軽い疲労となって感じられて来る。人間の意志と生態とは、一つ理にはゆかないものとみえる――などと覚りめいた思索に耽る。
と。
顔の横へ、うすい灯の縞が映した。灯のさして来る方へ官兵衛はしずかに眼をむけた。
窓があいたのである。頑丈な格子の向うに、人の顔が灯に揺らいでいる。荒木村重とほかの武者輩であった。
「官兵衛、寒いか」