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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁
この正月。
信長はそれを、眼に映じ、耳に聴き、舌に知り、城街全体の彩に観て、
「これがわしの待っていた正月なのだ。天下の初春だ」
と、満足した。
破壊よりは建設の楽しいことはいうまでもない、彼の破壊はその下地だった。
やがては、いま安土に醗酵しつつある生気溌剌たる新文化が、東国をも陸奥の果てをも、また北陸や中国九州までも、満潮の干潟を浸してゆくように、余すところなく漲ってゆくであろう。そして津々浦々の士民までみな、ここの士民と等しい生活を享受するようになるだろう。
「そのときだ。……俺は何してこの世を楽しもう」
それまでの事業が自分の使命と考えられるとき、彼はむしろ今日までの苦難の道がもの足らない気がした。
それにしても、彼は安土城の高閣から、城下の殷盛を見るたびに、文化というものの正体をいつも不審に考えずにいられなかった。
破壊に対しては、武を用いて来たが、新文化の発育には、大づかみな方向を示しておく以外、武や権力は用いていない。
また、種々な文化の新様相も、決してそれは信長の創意したものでもなし、彼の構想でもなかった――にも関わらず、生々として、悉く新しい、悉く脱皮している、旧臭旧態は、地にとどめないばかりである。