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ふたりのとも

新潮日本文学1 森鴎外集

森 鴎外

線上閱讀森 鴎外《新潮日本文学1 森鴎外集(ふたりのとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,954 字 · 29 頁

青空文庫

なぜわざわざ取り寄せたのだ。」

「なに、教師をしていると、人名や地名の説明を求められますから、この位な本がないと、心細いのです。」

F君と私とは会話辞書の話をした。Meyer と Brockhaus との得失を論ずる。こう云うドイツの本が Larousse や Britannica と違う所以を論ずる。俗書が段々科学的の書に接近して来る風潮を論ずる。とうとう私はランプの附くまでいて帰った。

私は借家に帰ると、古袷を一枚女中に持たせて、F君の所へ遣った。五十日分の宿料を払って、会話辞書を買っては、君の貰った月給は皆無くなって、煙草もやたらには呑まれぬわけだと思ったからである。

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私はF君の徼幸者の一面があると思っていたので、最初から君と交わるに、多少の距離を保留して置くようにした。しかし相識になってから時が立つに従って、この距離が段々縮まって来た。

それには衣食に事を闕いても書物を買うと云う君の学問好を認めた為めもあるが、決してそればかりではない。ドイツ語に於ける君の造詣の深いことは、初対面の日にもう知れていた。そうして見れば、君が学問好だと云うことは、問わずして明かなわけである。