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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (上)(めいじびじんでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,076 字 · 256 頁
けれどその、苦悩から生れた貴い勇気も、直に阻むような悪いことがつづいた。時運の来ぬということは仕方のないもので、殊勝な彼女らの旗上げは半年目で火災に逢い、一座は三味線も見台も、肩衣もみんな焼失してしまった。過度の神経衰弱におかされ弱まった心は、またしても故郷に埋もれてしまおうとしたが、九州、中国と巡業したのち思いきって東京へと乗出した。
呂昇の上京は、いまこそ来ぬうちから待兼られるが、廿五歳で出て来たおりには十銭の木戸で、それでも思ったほどの客足はなかったのである。横浜を打上げて帰阪すると、松の亭の席主が八百円の金を貸してくれたので播重と手を断つことになったのであった。けれどもまた、呂昇は松の亭からはなれることが出来なくなってしまった。
何処までいってもはてしのない旅――そういうふうにも見られた呂昇の生涯に大飛躍の時が来た。呂昇には三十を越してからやっと福運がめぐって来たのである。それまではよい給料をとりながらも八百円の高利がもとで松の亭にみんな吸われてしまっていたのであった。その後、呂昇が今日の呂昇となる動機に恋があったという事であるが、おしいことに私はこれを聞き洩らしている。